唾液による夜間のむせ、咳き込み、不顕性誤嚥の誤嚥性肺炎にお悩みではありませんか

睡眠中にむせたり、咳き込んだりしていませんか。

睡眠時無呼吸症候群や後鼻漏(こうびろう)や唾液が原因のむせがあります。

唾液によるむせない誤嚥(不顕性誤嚥)から、誤嚥性肺炎になる方が多くいます。

唾液によるむせは姿勢をコントロールすることにより、予防できる場合があります。

 

誤嚥の仕組み

 

 

唾液は口から、鼻水は鼻からのどに流れ込みます。
のどから、唾液や鼻水は食道に流れてほしいのですが、困ったことに普段、食道は閉じており唾液すら流れ込みません。
 

さらに困ったことに、仰向けで寝た状態では気管の入り口周辺では、ほとんど唾液や鼻水を貯められません。貯められる量を超えると飲み込み(嚥下反射)が起こらなければ気管に流れ込みます。
まさにこのとき、むせや咳き込みが起こります。唾液や鼻水が気管に入らない様に一所懸命むせや咳き込みが起こります。
危険なのは、むせや咳き込みが起こらずに気管から肺に入り肺炎(不顕性誤嚥)を起こすことです。これは、高齢者に多く80%以上が不顕性誤嚥からの死亡だと言われています。
 

 

横向きになることで、むせと唾液誤嚥を防ぎます。


唾液や鼻水による、夜間のむせや咳き込みがしにくい姿勢は、90度側臥位です。下の図は90度側臥位の喉内部の状況です。
 

横向きになると気管より下の広い空間(咽頭側壁)に唾液を約20㏄溜めることができます。

通常1分間に1㏄唾液が分泌されているそうです。

嚥下反射が起これば溜まった唾液は食道に飲み込まれていきます。嚥下反射が起こりにくい方や唾液の分泌量が多い方は、口元を下向きにし唾液を口から出すようにし、口元にタオルをあて唾液を吸わせるようにしておくと誤嚥しにくくなります。

 

横向きの姿勢をサポートするには

 夜間に唾液や鼻水からむせないようにする方法として、多くの病院では横向きの側臥位をしています。三角形のクッションや枕形状のクッションなど背中に当てて側臥位を調整しています。
 これらのクッションは、時間とともに背中から離れてしまったり、仰向けになったりすることが多々あります。

 90度側臥位をしっかり保ちながら、仰向けにならないようにサポートするのがピタットくん90ワイドです。
 ピタットくん90ワイドはシート部分とクッション部分からなります。シートを横になった下側に差し込むと自分の体重でクッションが背中から離れません。
 クッション部分は2重構造になっており、骨盤から肩にかけて背中側に倒れ込まない様にしっかり壁の様に支えています。
 ご利用者様は、骨盤が返らないと言ってくださります。
 

 


骨盤が背中側に倒れ込みにくくする
骨盤の倒れ込みをサポート

唾液誤嚥予防対策

  1. 口腔ケアをしっかり行い、口の中の常在菌を減らす
  2. 口から唾液を出す横向きの姿勢を楽に保つ

 

横向きの姿勢を保つクッションで、唾液誤嚥予防をサポート

  • あおむけになりにくくする背当てクッション 【ピタットくん90ワイド】
  • 90度側臥位から前傾側臥位をサポートするクッション 【回復体位クッション】

 

完全側臥位支援クッション

「ピタットくん90ワイド」

ピタットくん90ワイドの目的は、体幹が後ろへ倒れていくのを防ぐことです。 

ピタットくん90ワイドは伸びる生地と伸びない生地でできています。体幹が後方へ崩れるとクッション部分に圧力がかかり伸びない生地が背中側に巻き付くようになり、体幹が後方へ崩れるのを防いでくれます。

身体の下に敷いたシートがクッションのずれを防止し、仰向けにならないようにクッションが背中を支えます。

 

 



使用例

背中にピタットくん90ワイドのビーズが支え、身体の下の自重シートによりクッションは動きません。


「姿勢で治る嚥下障害」

日本は世界一肺炎死や窒息死が多い国です。肺炎や窒息の原因として注目されているのが飲 み込みの失敗を招く「嚥下(えんげ)障害」です。日本では嚥下障害を治せるか、管理できるかで治療成績が左右されます。嚥下障害治療において姿勢の管理は もっとも基本となる手技です。とくに重度の嚥下障害がある場合は食事時にも横になって過ごす必要があります。その方法は「完全側臥位法」といいます。完全 側臥位法は寝ているうちにツバが肺に入ってしまうこと(唾液誤嚥)の予防にも適しており肺炎治療にも応用ができます。
しっかりと姿 勢をとって、さらに保っているためには専門的な知識や指導が必要です。ピタットくん90ワイドは初めての人でも完全側臥位姿勢を作るのに役立ちます。姿勢が崩れ にくいので安全な食事や唾液誤嚥の予防が可能です。ピタットくん90ワイドがどこでも効果的な嚥下障害治療を始められるように手助けしてくれるでしょう。
         健和会病院  福村直毅

【回復体位クッション】

90度臥位になり、枕を低く口元を下向きにする。

この姿勢では、唾液は喉の奥に流れにくくなり、ほほに溜まり口元から流れ出やすくなる。

唾液誤嚥予防姿勢(90度側臥位で口元を下に向ける回復体位)では、唾液は肺に入らない
唾液誤嚥予防姿勢(90度側臥位で口元を下に向ける回復体位)では、唾液は肺に入らない

これが、唾液誤嚥予防の姿勢 「回復体位」です。

体に楽な回復体位は、肩と肘を平行にすることにより、胸が張り(胸郭が開き)呼吸がしやすくなります。大転子(骨盤)と膝、踵を平行にすることにより体のねじれが防げます。


回復体位クッションの構成

 回復体位クッションは、カバー・腕中材・足中材・高さ調整小袋からなります。チャックを開けて、ボリュームを足したいところに高さ調整小袋を入れ、チャックを閉めたのちビーズを手でならして、腕や足の高さを調整できます。中材は写真の向きに入れる。中材のビーズ取り出し口よりビーズを抜いて低くすることができます。

中材がずれない様に、カバー内部のボタンと固定します。

 

回復体位クッションとピタットくん90ワイドの併用例

背中にピタットくん90ワイドで倒れ込みを防止。回復体位クッションを抱えた在宅ユーザー
背中にピタットくん90ワイドで倒れ込みを防止。回復体位クッションを抱えた在宅ユーザー

在宅療養されている方からの体験談です。参考になる方もおられると思います。


平成31年4月13日

 

父は食事の時には完全側臥位に、それ以外の横になっている時間は回復体位で過ごしています。
その時にクッションを使っています。これらのクッションのおかげで、在宅でも完全側臥位や回復体位を簡単にできて父がとてもリラックスして過ごせているのでありがたいです。
一つの例として使用している様子を今回は紹介させていただこうと思います。

父は首が大きく反り返ってしまっているため唾液を貯めておくスペースが普通の人より少ないので、仰臥位でいるとすぐにゴロゴロしてしまってとても苦しそうで、頻繁に吸引をしなければならない状態です。
ですので退院してから福村先生に診察していただくまでの仰臥位で過ごしていた日々は、唾液誤嚥しないだろうか…と、とても心配で何度も父の様子を見にいき気が休まりませんでした。

福村先生と弘子先生にご指導していただいてから、回復体位にすることでこんなにも父がリラックスできることに感激しました。
完全側臥位にすることで食べさせてあげることもできるなんて!と大変驚き感動して喜びで胸がいっぱいになりました。
適切な体位にしてあげることの大切さを先生から教えていただいてから、父は穏やかな時間を過ごせるようになりました。

食事の時には、ふたこぶラックンと回復体位クッションとピタットくんワイドを使っています。
ふたこぶラックンを使うと頭と首をしっかりと支えてくれて反り返りを防いでくれるのでとてもありがたいです。
ピタットくんワイドもしっかりと背中を支えてくれます。
ふたこぶラックンとピタットくんワイドを使うと完全側臥位を保つことができるので、いつも安心して食事をすることができます。
クッションを使い始めてからこの9ヶ月間ほどの日々を、父は安全に毎日お口から食べることができています。

写真は実際に回復体位にしている時のものです。


背中側にはピタットくんワイド、前側には回復体位クッションを使っています。
頭を低くしたいので、頭の下にはバスタオルを2枚重ねて半分に折ったものをさらに縦に半分にしたものを敷いています。
唾液が口の外に流れ出てくるので、汚れてもすぐに替られるように口元にフェイスタオルを敷いています。
なるべく前傾になるようにバスタオルをくるくる丸めたものとクッションを置いて隙間を埋めて首が反り返らないようにしています。
そうするとお口も閉じていられます。

横向きになると耳が下になるので耳が赤くなって少し切れてしまったことがありました。
注意しないと耳も褥瘡になってしまうことを知りました。
看護師さんに柔らかいタオルを丸めたものを耳に沿って置いて直接耳が触れないようにしてあげるといいとアドバイスしていただいてからはそのようにしています。
足底もちゃんと支えてあげた方が良いと弘子先生から教えていただいたので、バスタオルをくるくる巻いたものを足底に当てています

体に楽な回復体位は肩と肘の高さを同じに、骨盤と膝と踵を平行にするとありますが回復体位クッションを使うと簡単にそういう状態にしてあげることができます。
父は少しでも重たいと「重いからどけて」というのですが、こちらのクッションは4ヶ月ほど使っていますが、軽いので父はとても気に入っている様子です。
軽い素材ですが、しっかりと支えてくれるので回復体位を保つことができて、こちらを使わせていただいてから父はとてもリラックスして過ごすことができるようになりました。
表情もとても柔らかでスヤスヤ寝ている父を見るとこちらもホッとします。

回復体位クッションがまだなかった時には、ホームセンターで細長い抱き枕を買ってきて、そのクッションにタオルケットを巻いて父に抱かせて回復体位にしていました。
タオルケットを巻いたのは、そのクッションの素材がツルツルしたものだったので足が滑らないようにするためと、少し幅と高さが足りなかったのでタオルケットで幅と高さの調整できたらいいなと思ったからです。
ですが、そのようにしても肩と肘の高さが同じに、骨盤と膝と踵が平行になるようにはできなくて、今考えると父の身体のどこかに少し緊張があったように思います。
ですので、回復体位クッションを使わせていただいた時にとても感動しました。

代替のものでも完全側臥位や回復体位はできますが、これらのクッションを使っている場合と使っていない場合を比較すると、断然クッションを使っている時の方が父の心身の緊張がスッと抜けてとてもリラックスしていることが表情からも感じられます。
父に快適に過ごしてもらうために我が家ではなくてはならないものになっています。

それぞれのクッションは細やかなことまでよく考えて作られていて、作ってくださる方々の患者さまが楽な姿勢を保てますように、食べることができますようにとの思いが込められていることを感じます。

 


お客様の声